子どもがよく噛まない

  「(幼稚園や学校で)時間内に食べ終わらない子」「口の中にいつまでも食べ物が残っている子」がいる一方で、「あっという間に(噛まずに)食べ終わってしまう子」など「噛まない」「噛めない」子どもが増えています。「よく噛める」子どもになるにはどうしたらよいのでしょうか。
「食べ物を噛んで、呑み込む」能力は、人が生まれつき持っている能力ではなく、離乳食、幼児食を通して練習によって身に付けられるものだそうです。幼児期に「よく噛める」土台が作られているのです。
「食べる」という行為は3段階に分かれています。
1.唇と前歯を使って自分の口のサイズに合った分の食べ物を取り込む、
2.歯と歯茎で食べ物を噛みつぶす、
3.唾液と混ぜ合わせて呑み込む、です。
これらがバランスよくできるようになるとよく噛めます。
意外と重要なのが1.で、多く頬張ってしまうと、上手に噛むことができず、十分に噛みつぶせないまま丸呑みしてしまったり、水で流し込んだりということになります。お子さんがうまく食べることができていないと感じたら、3段階のどの段階でうまくできないでいるかを観察してアドバイスしてあげましょう。
食品の切り方や調理後の固さにも工夫しましょう。段階的に進んでいきます。切り方で言えば、厚めの角切りなど手づかみできる大きさから始めて、乱切りなどスプーンにのる大きさにして、次に大人と同じくらいの大きさといった進め方です。固さも最初は指で楽につぶせる程度に調理して、やがて奥歯でスムーズに噛み砕けるくらいの固さ、そして大人よりも少しやわらかめの固さに、など工夫しましょう。
食べさせる食品も固さの違ういろいろな食品を使いましょう。やわらかいものの他に、固いものや繊維に富んだもの、弾力のあるものなど噛み応えの異なる食品を組み合わせて、噛むと美味しさが増すようにしましょう。だしや素材のうま味を効かした味付けの調理や、好き嫌いが分かれるかもしれませんがスルメや昆布など「噛めば噛むほど味が出る」というタイプの食品は口の中に香りやうま味が広がり、よく噛んで味わおうとします。

よい食習慣は一生の宝物です。よく噛んでおいしく食べることを子どものうちに身につければ、健康で美味しい人生が待っています。